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name: akubun-writing
description: 岩淵悦太郎編『悪文』の原則にもとづいて、日本語の文章を読者本位で診断・推敲・改稿するときに使う。メール、案内文、報告書、論説、マニュアル、スピーチ、広報文、Webコピー、日本語への翻訳文などで、わかりやすさ、段落構成、文の長さ、修飾関係、語の選び方、敬語、文体の統一が主な論点になる場合に特に有効。詩や、意図的に晦渋さを残した文学表現には、ユーザーが明晰化を求めた場合に限って慎重に適用する。
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# 悪文ライティング

## 概要

この skill は、『悪文』を日本語文章の実務的な推敲ワークフローとして使える形にしたものである。判断基準は単純で、想定読者がその文章を無理なく、誤読せず、読み返しをあまり必要とせずに理解できるかどうかである。

単なる文法チェックや揚げ足取りではない。文章がどこで読者を迷わせるかを見極め、構成から語句まで順に直していくために使う。

## ワークフロー

### 1. まず伝達条件を確定する

- 推敲前に、目的、想定読者、媒体、必要なレジスターを確認する。
- 事実関係、書き手の意図、意図的な語り口は維持する。
- ユーザーが「硬め」「やわらかめ」などの方針を出しているなら、それを制約条件として扱う。

### 2. 層ごとに診断する

- 文章全体の構造: 主眼、並べ方、段落ごとの役割、つなぎ方。
- 文の組み立て: 文の長さ、接続、句読点、中止法の使い方。
- 論理と統語: 主語と述語の対応、省略、並列、副詞や助詞の収まり。
- 修飾: かかり先、距離、長い連体修飾、挿入句。
- 語の選び方とイメージ: 重複、専門語、独りよがりな新語、連語、比喩のぶれ。
- レジスター: 敬語の選択、丁寧すぎる形、敬語の脱落、文体の統一。

### 3. 大きいところから小さいところへ直す

- 局所的な言い換えより先に、順序と段落構成を立て直す。
- 接続詞をいじる前に、役目を抱え込みすぎた文を分割する。
- 読者に推測を強いすぎる箇所では、関係を明示する。
- 可能なら、もってまわった表現や役所的な言い回しを、正確で平明な日本語に替える。
- 敬語や文体の統一は、論理の骨格が固まってから整える。

### 4. 依頼の型に合わせて返す

- レビュー依頼なら、重要度順に主要な問題点を先に出す。
- 改稿依頼なら、まず読みやすく直した本文を出し、必要なら主要変更点を添える。
- 学習目的なら、どの原則に反しているか、どう直すとよいかを説明する。

## 基本優先順位

- 書き手の気分より、読者の理解を優先する。
- 流れ任せより、明示的な構成を優先する。
- `て` や `が` の長い連鎖より、短くはっきりした文の接続を優先する。
- 気の利いた省略より、安定した主述関係を優先する。
- 離れた修飾より、近い修飾を優先する。
- えらそうな語より、普通で正確な語を優先する。
- ばらついた敬語や文体より、一貫性を優先する。

## 効き目の大きい着眼点

- 一つの文に主張、理由、例外、具体例まで入っているなら、主張を一文に切り出し、補足を別文か箇条書きにする。
- `が` `て` `ように` などが複数の読みを許すなら、関係をもっとはっきり示す形に言い換える。
- 修飾語が二つの対象にかかりうるなら、対象の近くへ移すか、被修飾語を言い直す。
- 説明文では、危ない省略より、少しの安全な反復のほうがよいことが多い。
- 一般向けの文では、非専門家が一読でわかる語を優先する。
- 話し言葉や読み上げ原稿では、耳で聞いてすぐわかることを優先し、同音異義語や説明のない略語を減らす。

## 典型タスク

### 日本語の草稿をレビューする

- 構成上の問題と、局所的な言い回しの問題を分けて扱う。
- 問題指摘の引用は、位置がわかる最小限にとどめる。
- 軽微な磨き込みより、意味、読みやすさ、信頼感を損なう問題を優先する。

### 日本語の草稿を書き直す

- ユーザーが求めない限り、意味とレジスターは保つ。
- 語の磨き込みより先に、順序と構造を直す。
- 元文に乱れや曖昧さがある場合は、推測を保守的に行い、不確かな点を明示する。

### ゼロから起草する

- 目的、読者、段落設計から始める。
- 調子のよさや勢いが、明晰さを追い越さないようにする。
- 説明文では、読者が行き先を見失わない程度に早く結論や主眼を示す。

### 翻訳文を自然な日本語に整える

- 原文の語順や構文をむやみに保存しない。
- 訳語の正確さと、日本語としての自然さを分けて判断する。
- 直訳調が残る箇所では、「何を伝える文か」を先に定め、日本語として組み直す。
- 必要なら、忠実訳、自然な改稿、意訳寄り改稿を分けて出す。

### 敬語と文体を整える

- 平明で節度ある敬語を優先する。
- 不要な `お/ご` を外す。
- 謙譲語と尊敬語を取り違えない。
- 目立つ効果を狙うのでない限り、`です・ます` と `だ・である` を混用しない。

## 適用範囲と限界

- この skill が最も強いのは、説明文、報告書、案内文、マニュアル、論説、実務文、Web コピー、スピーチ、日本語として自然に整える翻訳文など、実用的な日本語文章である。
- 詩、小説、意図的に不安定さを残す語りには、ユーザーが望む範囲だけ適用する。
- 原典には時代の古い例や判断も含まれる。そこで重要なのは細目の禁止ではなく、長持ちする原則である。

## 参照先

- `references/book-analysis.md` には、本の全体像、章ごとの要点、現代化の考え方をまとめてある。
- `references/diagnostic-checklist.md` には、標準的な診断チェックリストを置いてある。
- `references/revision-patterns.md` には、実際の改稿で使う変形パターンをまとめてある。
- `references/fifty-rules.md` には、終章の「五十か条」を現代向けに言い換えた短い確認表を置いてある。
